
『かぐや姫の物語』では、姫が月へと帰る途中に、地球を振り返るシーンがありますよね。
地球を見た後、姫の顔には涙が浮かんでいましたが・・・このシーンには、どんな意味があるのでしょうか?
また、映画のラストに登場する赤ちゃんには、どのようなメッセージが込められていたのでしょうか?
今回は『かぐや姫の物語』の最後のシーンについて紐解いてみました!
かぐや姫の物語のラストシーン

引用元:https://www.ghibli.jp/kaguyahime/
【物語の終わり方】
①かぐや姫を月に連れ戻すため、天人が登場
②武士や従者は攻撃しようとするが、全員動けなくなる
③お婆さんはかぐや姫を抱きしめて守ろうとするが、不思議な力で強制的に姫を連れて行かれる
④かぐや姫・お爺さん・お婆さんの3人は、泣きながら別れを惜しむ。
⑤天女(?)がかぐや姫に「天人の羽衣」を着せた瞬間、かぐや姫は無表情になる。
羽衣を着ることで、人間らしい感情や地球での記憶や感情を失ってしまった。
⑥無表情なままのかぐや姫は、雲に乗って天人たちと月に帰る。
⑦地球から完全に離れたかぐや姫ご一行。
月へと戻る途中、彼らの背後には小さくなった地球が見える。
⑧かぐや姫が、ふいに地球を振り返る。この時、顔は無表情なままだが涙を流していた。
⑨最後に、満月と赤ちゃん(生まれた時のかぐや姫)が画面に映し出され、物語は終了。
▽ストーリー全般はこちら
かぐや姫の物語と原作竹取物語との違いは?罪と罰や帰る理由を比較
ザックリ説明すると、こんな感じですね。とても切ない内容です。
お爺さんもお婆さんも、必死でかぐや姫を守ろうとしますが・・・
どんなに足掻いても、人間では天人には勝てません。
ちなみに、最後に登場する月の使者(天人)は、めちゃくちゃ怖いです。
登場シーンも音楽も、そして外見も、日本人なら「絶対に勝てない」と思うような相手。
それが天人ですね。
➡かぐや姫の物語で月からのお迎えの音楽(最後の曲)が怖い理由は?
地球を振り返る時、記憶が戻っていた?
月へと帰る途中、かぐや姫はふと地球を振り返り、涙を流していました。
このシーンの解釈について、中には
「かぐや姫は地球を見たことで、記憶を思い出したのかも!」
と思った人もいるようですが・・・
実を言うと、私は逆だと思っています。
映画の中で、何回も「月の羽衣を羽織ったら、その時点で地球での記憶が消える」と言っていたので、かぐや姫の記憶は消えてしまったのでしょう。
恐らく、雲の上から地球を振り返った時も、記憶は戻っていないと思います。
かぐや姫の顔も、地球が名残惜しくて振り返ったというより、何となく振り返ったという雰囲気でした。
でも、かぐや姫は涙を流していたのです。
ということは、かぐや姫本人も、自分がなぜ泣いているのか理由がわかっていなかったのでしょう。
本当は悲しいから泣いているのに、記憶が消えたせいで、自分の涙の理由がわからない。
本人からしてみれば「何となく地球が気になったら、なぜか涙が出てきた。なんでだろう」みたいな感じでしょうね。
めちゃくちゃ切ないです。
色褪せた場面の意味

かぐや姫たちが月に帰る場面。
切なく涙を誘う内容ですが・・・実は、このシーンにも高畑監督の演出が隠されていたことに気づきましたか?
実は、このシーンだけ画面に色が無いのです。
色が無いというか、全体的な色彩が薄いです。例えるなら、絵の具をギリギリまで水で薄めた感じですね。
でも、かぐや姫が地球を振り返る一瞬だけ、画面に鮮やかな色が戻ります。
そして、地球から目をそらすと、また色無くなります。
この演出の意味ですが、恐らくかぐや姫の内面を表しているのだと思います。
地球で過ごした時間は色鮮やかだけど、それを失ったせいで、姫の心からも色彩が消えた・・・ということなのでしょう。
ちなみに、私は初回に映画を見た時はこの演出に気づきませんでした(汗)
でも、2回目の視聴でようやく”色彩の違い”に気づいて、そこで涙腺が崩壊しちゃいました。
かぐや姫の物語って、ラストが本当に悲しいですね。
ちなみに、この「色の無いシーンの演出」は、アルプスの少女ハイジ(=演出担当が高畑監督)でした。
高畑監督って、演出の仕方が本当に素敵ですね・・・!
そういえば、かぐや姫とハイジは、生い立ちがちょっと似ています。
もしかすると、日本版ハイジとして描かれたのが、「かぐや姫」なのかもしれませんね。
最後の赤ちゃんの意味は?
かぐや姫の物語では、最後に「大きな満月」と「赤ちゃん時代のかぐや姫」が映し出されます。
このシーンの意味ですが、恐らく
「かぐや姫は月に帰ったけど、地球で過ごしてきた事実は変わらない」
「記憶が消えても、思い出は残っている」
というメッセージが込められているのかな?と思いました。
かぐや姫のラストがあまりに悲しいので、高畑監督がこのワンシーンを入れてくれたのではないでしょうか?
最後の「赤ちゃんのシーン」が無ければ、もっと悲しい終わり方だったと思います。
まとめ
かぐや姫が月へと帰る途中、姫の記憶は消えていたのでしょう。
でも、姫が地球を振り返った瞬間に涙を流したという事は・・・記憶は消えても、心の奥底に ”何か” が残っていたのかもしれませんね。
また、最後の赤ちゃんの意味については、「地球で育った事実は消えない」というメッセージが込められているのだと思います。
ストーリー自体は悲しい話ですが、ただの悲劇ではなく救いのある話なのでしょう。
(よろしければ、あなたの意見も聞かせていただけると嬉しいです。)
最後の子供は捨丸兄さんと出来た子供で、その子供も地球に行きたがるのでずっと回って巡ります。罪が