『となりのトトロ』には不思議な生き物がたくさん登場しますが、見れるのはさつき・メイの2人だけ。
父親やカンタの祖母には、トトロ達が見えない様子ですが…
なぜ、さつきとメイにだけトトロが見えるのでしょうか?何か条件がありそうですよね。そこで今回は
- トトロが見える条件
- 大人にトトロが見えない理由
について、私の考察をまとめました。
トトロが見える条件とは?子供の時しか見えない存在
条件①子供であること
前提として、トトロを見れるのは子供だけです。大人になると見えなくなってしまいます。
ストーリー序盤でメイだけに”トトロ”や”まっくろくろすけ”が見えていたのは、メイが4歳でまだ子供だから。メイは幼い子供だからこそ、大人に見えない不思議な生き物と触れ合えたワケですね。
なお『となりのトトロ』の主題歌でも「子供の時にだけあなたに訪れる」と歌っています。
子供の時にだけあなたに訪れる 不思議な出会い
引用元:となりのトトロ
「七つまでは神のうち」という言葉があるように、宮崎駿監督は「小さな子供は”あっち側”に近い存在」と考えていたのかもしれません。
補足|カンタの祖父にも見えていた
カンタのおばあちゃんも幼少期に”ススワタリ”を見たと語っていますが、大人になると見えなくなったようですね。
小ちぇー頃には、わしにも見えたが…
そうか、あんたらにも見えたんけぇ。引用元:となりのトトロ
案外、おばあちゃんも幼少期にトトロと遊んでいたのかもしれません。というかあの近辺に住んでいる人は、皆トトロと遊んでいる可能性があります(笑)
関連:トトロとコダマの関係とは?ジブリ映画における世界観の繋がり
条件②「あちら側の世界」に迷い込むこと
メイは幼い子供なのでトトロを認知できましたが、さつきはすでに12歳。
本来なら、さつきはトトロを見れない年齢でしょう。
12歳はちょうど思春期にあたり、子供から大人へと成長している段階です。半分は大人なので、一概に子供とは言えない年齢ですよね?
事実、ストーリー序盤でさつきの目にはトトロが見えていません。また、カンタやさつきの同級生に至ってはトトロ自体を知らない様子でした。
つまり、子供全員がトトロが見えるワケではなく年齢制限があるのでしょう。
最初からトトロを見れたのは、完全な子供であるメイだけです。この点については、別記事【なぜカンタにはトトロが見えないのか?】でも解説しています。
しかし、バス停のシーン以降はサツキもトトロが見えるようになりました。
なぜこのシーンで、さつきはトトロが見えたのか。なぜ、このシーン以降はトトロが頻繁に見えるようになったのか。
この点については私見ですが…
バス停のシーンがきっかけとなり、さつきは”あちら側の世界”に足を踏み入れたのだと思います。
主題歌『となりのトトロ』の歌詞を借りるなら、トトロに傘をさしてあげたことで魔法の扉があいたのでしょう。
雨降りバス停
ズブヌレオバケがいたら あなたの雨ガサさしてあげましょう
森へのパスポート
魔法の扉あきます引用元:となりのトトロ
ジブリの世界観だと、人間が人外の世界に迷い込むのは珍しくありません。『千と千尋の神隠し』などは代表例でしょう。
さつきに関しても、バス停でたまたま向こう側の世界に入ってしまったのだと思われます。
条件③優しく好奇心旺盛であること
さつきはタイミングが良かった(?)のか、一時的にトトロ側の世界に入ったのでしょう。
そこでトトロに親切にしたため、それ以降もトトロの助けを得られたのかなと思います。
要するに、さつきが優しい子だからトトロに好かれた訳ですね。
もしさつきが冷たい子供で、傘を貸してあげなかったら…
きっとバス停のシーン以降、トトロを見ることは出来なかったはずです(年齢的にも厳しいですし)
宮崎駿監督も『出発点―1979~1996』の中で説明していますが、さつきって本当にいい子なんですよ。まだ12歳なのに、父親と妹の面倒を見るしっかりしたお姉さんです。
転校もなんなくこなし、すぐに友人も出来る。
ただ、実生活の能力に欠ける父親と妹のめんどうをみるために、一寸ガマンを強いられているので、その分大人にならざる得ない所もある。
しかし、困難を楽しむ才能すらこの少女は持っている。引用元:出発点1979~1996(著・宮崎駿/出版・徳間書店)
妹のメイについても、個人的にはメイが好奇心旺盛で純粋だったからこそトトロに出会えたのだと思っています。
小トトロやススワタリに怯えることなく、興味を持って捕まえたり追いかけたりするような純粋な子であることも、トトロが見える条件ではないでしょうか。
もしメイが大人しい子供だったら、そもそも小トトロを追いかけませんよね?そしてその場合、トトロの寝床を見つけられなかったでしょう。
なぜ大人にはトトロが見えないのか?
考察①大人と子供は世界の見え方が違う
そもそも、なぜ大人にはトトロが見えないのでしょうか?
この点については作中で語られていませんが、素直に考えるなら子供と大人は、それぞれ世界の見え方が違うからでしょう。
素直でありのままを受け入れる子供だからこそ、トトロが見えたのだと思います。
- 子供の視点:見たものをそのまま素直に受け止める
- 大人の視点:見たものを常識の範囲内(一般的な概念)で処理しようとする
メイがまっくろくろすけを発見したときも、父親は「明るい所から急に暗い所に入ると目が眩んで~」と常識的な説明していますよね。
大人は既存の概念にとらわれて、物事をありのまま受け止めることができません。だからトトロが見えないのでしょう。
世の中にはピュアな大人もいますが、子供の頃と同じように世界を見れる人なんていないはずです。
大人になると、常識を得る代わりにいろいろな物を失っていくのでしょうね。
関連:『となりのトトロ』のタイトルの意味は?なぜ”隣”なのか?
考察②トトロが身を隠しているから
大人にトトロが見えないのは、トトロ本人が身を隠しているからとも考えられます。
小トトロ達の動作を見るに、彼らはひっそり暮らしているイメージです。
トトロの能力的には「我こそが山の主!」と威張っても良さそうですが、彼らはそれをしません。
もしかすると、普段から人間にバレないよう注意しているのかもしれませんね。
公式設定ではトトロ=コダマの進化系だと発表されているため、『となりのトトロ』と『もののけ姫』は同一世界線ということになります。この場合、トトロの先祖は戦いに敗れた古代神。つまり人間に滅ぼされかけたので、ひっそりと身を隠しながら生活しているとも考えられますが…この考え方は、トトロのイメージに合いませんね。
まとめ
トトロは子供の時にだけ見える存在
トトロが見えるのは、基本的にメイのような幼い子供だけ。
『となりのトトロ』の歌詞やキャラクターの台詞からも、その事がわかります。
さつきは本来ならトトロが見えない年齢ですが、バス停で”あちら側の世界”に迷い込んだ結果、トトロが見えるようになったのでしょう。
大人になると見えなくなる
なお、メイとさつきは現状トトロが見えていますが、成長するにつれて見えなくなると思われます。
作中では姉・さつきが12才。妹・メイが4才なので、トトロと遊べるのは今だけですね。
大人になると、本人の望む・望まないに関わらず”世界の見え方”が変化するものです。
その結果、トトロをはじめとした不思議な生き物を見ることが出来なくなるのでしょう。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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