『フライト・ゲーム』は、飛行機の中で繰り広げられる、密室サスペンス映画です。
”密室系”のストーリーはよくありますが、この映画では「制限時間20分」「犯人候補が乗客全員」という要素が加わり、ドキドキハラハラする展開になっています。ミステリー映画が好きな人には、たまらない展開ですね!
ただし、映画のレビューを見ると「犯人の目的やトリックがわかりにくい」という意見もちらほら・・・
そこで、今回は「犯人は誰で、なぜ事件を起こしたのか」という動機と、「なぜビルを犯人に仕立て上げようとしたのか」という点について、考察&解説していきます。
映画『フライト・ゲーム』のストーリーと登場人物
あらすじを1分で解説
ニューヨークより146人の乗客乗員が搭乗した、ロンドンへと向かう旅客機。
その警備を任されている連邦保安官ビル・マークス(リーアム・ニーソン)のもとに、1億5,000万ドルを指定口座に入金しなければ20分おきに機内の人間を1人ずつ殺害するという異様な犯行予告メールが届く。
限定されたネットワークからメールが送信されたことから同僚が犯人ではないかと思いつつ、犯人の特定に奔走するビル。
そしてメールの内容通りに、機内で1人ずつ人が命を落とす。やがて、地上から犯人が指定した口座はビルのものであることが判明する
引用元:https://natalie.mu/eiga/news/273615
乗客のふりをして、飛行機に乗り込む男性。彼こそが本作の主人公「ビル」で、航空保安官の仕事をしています。
そんなビルの携帯電話に、謎のメールが届きました。そのメールには、なんと「1億5000万ドル指定口座に入金しろ!さもないと、乗客の命はないぞ!」というメッセージが書かれていたのです。
機内にはたくさんの乗客がいますが、どうやら犯人はこの中にいるらしい・・・という訳で、ビルは脅迫メールの犯人を見つけるため、独自で捜査を行います。
しかし、逆に「お前がテロの犯人では?」と、国や乗客から疑われてしまうのです。
航空保安官ってどんな仕事?
主人公ビルは「航空保安官」という職業に就いています。航空保安官は本当に存在するお仕事で、ざっくり説明すると「飛行機の中で乗客の安全を守ること」が役目です。
映画内でも、ビルは犯人を突き止めようとしたり、乗客の中に不審人物がいないか探したりしていましたよね。あれは、彼が航空保安官としての役割を果たすために、乗客を守ろうとしていたためです。
登場人物と容疑者一覧
■ビル・マークス:映画の主人公。航空保安官で、娘を失った過去がある。
■ジェン・サマーズ:赤髪の女性で、なぜか窓際に座りたがる。ビルの犯人探しに協力的。
■ナンシー:乗務員(チーフ)のお姉ちゃん
■グウェン:乗務員(ヘルプ)のお姉ちゃん
■デヴィッド・マクミラン:機長
■カイル・ライス:副機長
■ジャック・ハモンド:ビルの同僚。お金目当てでコカインを運んでいた。
■トム・ボーウェン:メガネの教師。嘘の証言をして、ビルに拘束される。
■ザック・ホワイト:黒人男性その1。プログラマー
■トラヴィス・ミッシェル:黒人男性その2。態度がめちゃくちゃ悪い。
■オースティン・ライリー:ニューヨークの警察官。ビルの捜査にイライラしている。
■ベッカ:幼女。この日、初めて飛行機に乗った。
■ファヒム・ナジール:お医者さん。
■チャールズ・ウィーラー:破産処理専門の弁護士
■アイリス・マリアン:セクシーなお姉ちゃん。
犯人の目的と真相は?黒幕は誰?
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※ここからは、映画『フライト・ゲーム』の内容をがっつりネタバレしています!事件の真相や解説が目的なので、自分で推理したい人はご注意くださいませ。
犯人の名前は?黒幕は誰?
結論から言うと、『フライト・ゲーム』の黒幕(真犯人)は「トム・ボーウェン(メガネの教師)」です。
ザック・ホワイト(黒人プログラマー)とハモンド(ビルの同僚である)も犯人に協力していますが、彼らはあくまで共犯者です。
ザックについては、完全にお金目当てですね。彼はお金が振り込まれた後、パラシュートで逃げる気満々でした。
犯人の目的と事件の真相
犯人(トム・ボーウェン)の目的ですが、ザックリ説明すると「『9・11』で乗客を守らなかったアメリカへの復讐」です。
『9・11』とは、アメリカで実際に起こった同時多発テロ事件ですね。
映画内で、トムは今回の事件を起こした目的について、次のように語っていました。
乗客は 国が安全を守ると信じてる あんたが守ると
『みんな 心配は無用だ 航空保安官がいる』
簡単に実行で来たぞ
そうとも みじめに あの日三千人が死んだ
俺の父親もだ卑怯者を殺すため入隊した
でもなんの戦争がわからなくなり 帰還した 何も変わらない国へ
引用元:『フライトゲーム』映画本編より
「あの日三千人が死んだ」というセリフは、9・11の事件のことを指しています。そして、9・11によりトムは父親を失ってしまったのです。
その結果、トムは
「現在の航空保安官は全然仕事をしていない。『安全だ』なんて嘘だ。そして、航空保安官は嘘の象徴だ」
と考えるようになりました。
そのため、犯人たちは今回のテロ事件を計画し、航空保安官の無能っぷりを世間に証明しようとしたワケですね。
国民がいくら言葉で訴えても、世界は変えられない・・・そう思ったからこそ、飛行機に爆弾を詰め込んで、行動に移してアメリカ国民の目を覚まそうとしたのでしょう。
ビルを犯人に仕立て上げようとした理由も、「現役の航空保安官がテロの犯人だ!この国は、凶悪犯を保安官に任命したんだぞ!」というアピールのためだと考えられます。
ただし、私からすれば「なんで、そんな考え方になるんだよ。」という印象でしたけどね。
怒りの矛先が間違っていますし、ビルを犯人にしたところで、国全体が大きく変わるワケではありません。
でも、犯人は9・11の被害にあって苦しくて、その結果、考え方が妙な方向に進んでしまった・・・そう考えると、悲しい話ですね。
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では、なぜ犯人はビル狙ったのでしょうか?本編では、その理由がハッキリ説明されていないので、気になってモヤモヤした人も多いかと思います。
という訳で、この章ではビルが犯人に狙われた理由を考察してみました。
ビルの経歴が理由?
まず、1つ目の理由はビルが現役の航空保安官であること。この点については、上の章で説明したので省きますね。
そして2つ目の理由は、ビルが ”アルコール中毒” や”離婚歴”を持っていて、私生活に問題があったためだと考えられます。
素行が良く、私生活に全く問題がない人よりも、ビルのようなタイプの方が、犯人に仕立て上げやすいと思ったのでしょう。
また、ビルは善人で乗客を見捨てられない性格だったことも、犯人に狙われた理由だったのかな・・・と思います。
もし、ビルが身勝手で「乗客よりも、自分の保身が最優先!」というタイプの人だったら、あのような展開にはならなかったはずです。
つまり、犯人はビルの経歴や性格などを総合的に判断した結果、彼をテロの犯人役に仕立て上げようと考えたワケですね。
まとめ
一連の事件を引き起こした犯人は、メガネをかけた教師トム・ボーウェンでした。彼は9・11事件により父親を亡くし、その時から「国も、航空保安官も、国民を守ってくれない。嘘だらけだ」と考えるようになります。
そして、航空保安官(=国)の信用性を落とすために、今回の密室殺人をした・・・というのが、犯人の目的であり、この映画の真相でしょう。
黒人のプログラマーは共犯者、ビルの同僚は利用されただけですね。
ストーリー的に、わかりにくい部分やツッコミどころが多々ありますが、個人的には好きな映画ですね。いろいろと考えさせられます。
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